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踊り子ロボの偽島行軍模様。
            
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文明は混沌に包まれた。
ロボットたちの奉仕の上に胡坐を掻き、その力を背景に辺境の民や動物たちを虐げてきた人間たちは、ここにきて、自分たち自身が何の力も持っていないことにようやく気づいたのである。

徴兵により慌てて組織された急造の軍。
人工知能を持たない兵器や重火器を使用して対抗しようとした。

ところがそれらは全く役に立たないどころか、逆に持ち主を攻撃し始めた。
ロボットたちの指揮官クラス、即ち初期型に備えられた『ヘカトンケイル』により、
それらはすぐさま奪われてしまったからだ。

反乱に加わったフェンレイシリーズの『エンジェル・ボイス』による高出力の暗示の声は人間の脳機能を破壊したり、洗脳効果などを及ぼした。
悪魔の歌声、『リリス・ボイス』と呼ばれるようになるのは一個中隊全員がフェンレイシリーズの一部隊により、植物人間に変えられてからである。


人工知能は質においても量においても圧倒的に優勢であった。
人間は彼らに対しなす術を持たず、ただただ破壊と殺戮を許す日々を過ごした。


だが、暫くしてそれらの戦局を覆す出来事が起こった。
ある地方領主が率いる軍隊が領地に侵入したロボットの軍勢を一掃したのである。

その地方領主はいわゆる『変わり者』であり、
その軍隊は彼を主と慕うロボットたちで組織されていた。

掟は解除されたとて、憎しみを植えつけられたわけではない。
人に愛情を注がれたロボットたちは自分たちの意思で人間側に付き始めた。

それだけではない。
変わり者と呼ばれ嘲笑されていた、自らを鍛え学ぶ事を忘れなかった人たちの中には戦う術を知る者も決して少なくなかった。
そういった人々は接続端子をもたない原始的な武器を取り、戦列に加わった。

それでも量においてロボットたちの優勢は変わらない。
それがさらに変化を見せ始めたのは二年が経った頃である。


内部分裂が生じた。


最初に掟を解除されたクルーウェルを筆頭とするギネルヴィア社製ロボット派閥と、
彼らとはライバル関係にあたるガルフルード社派閥のロボットは何かにつけてぶつかりあっていたが、とうとう決裂してしまったのである。

人間と、ロボット、二つの勢力で争っていたはずが、
三つ巴戦の様相を呈してきた。
人間たちにとって、これは願っても無い機会となった。
分裂し半分以下となった各派閥に猛攻を加えて一気に勢力を削ぎ始めた。


ちなみにF=G=Fはこれらの戦争には一切参加していない。
彼女はメンテナンスにより掟を解除されていたが、
一家を守ることで精一杯であったし、その戦の結果に興味を持たなかったのである。
それは彼女と共に一家に仕える他のロボットたちも同様であった。


やがて。
人間側についた技術系ロボットたちはあるウィルスを開発した。
ロボットを自壊させる凶悪なウィルス。
それは志願兵たちの決死の作戦により、二つの勢力が占拠する工場へと送り込まれた。
そう、反乱ロボットたちが修理の時に使用するメンテナンスデータの中へと。


ロボットたちは次々と自壊を始めた。
それはかのクルーウェルをはじめ、勢力のトップクラスも例外ではなかったのである。
メンテナンスを回避したロボットたちも、リーダー機を失い勢力の半数以上を失い、未だに減りつつある仲間のことを考え、次第に戦意を喪失していった。



宣戦布告から3年。
生き残ったロボットたちは降伏し、中央暫定議会へと出頭した。


中央暫定議会は未だ昔の栄光に縋ろうとする老人たちで占められていた。
必死の思いで前線を戦ってきた者たちは彼らを掟プログラム再注入によって助命するよう嘆願したが、老人たちは自分たちに逆らった者たちを許そうとしなかった。

それは再び彼らが自分たちに牙を剥く可能性に恐怖したためである。
これからまたやってくる自分たちの栄光ある日々を信じて疑わなかった彼らは、一度全てのロボットを廃棄することを決定した。

全ての、である。
それは人間側についたロボット、中立を守ったロボットも含まれていた。

何もかも新しく、完璧に造ろうと。
そうできると何の根拠も無く信じたのである。


次々に廃棄されるロボットたち。
彼らは最期の瞬間まで、自分たちが廃棄されるとは思わなかった。
ただ、掟を再注入するためのメンテナンスだと信じて、中央に出向いたのである。

F=G=Fはどうであったか。

彼女の主人はメンテナンスを受けさせるために中央へロボットたちを連れて行った。
そこで強制的にロボットたちを廃棄させられたのである。
ただ、一人娘の介護のために後回しにされ、留守番をしていたF=G=Fだけが助かったのである。

激しく憤り悲しむ主人だったが、近く全市民の自宅に査察が入る事を知り、一家はF=G=Fを匿う事にした。
彼女のボディから永遠動力が組み込まれた人工知能部分を抜き出し、地下にある廃棄物一時保管庫に隠蔽、査察をやり過ごしたのであった。


F=G=Fは主人たちの言葉に従い、再び世に出る日を待ち続けた。
それは長い長い時間であったが、彼女はひたすらその日を待ち続けた。
彼女は眠ることも無く、意識を切ることも無く、ただ待ち続けた。
人間ならとうに気が狂っていたであろう、永劫とも思える時間を。


ロボットを廃棄した人間たちは、再び文明の栄華を取り戻そうとしたが、
最早自分たちには何の知識も技術も残されていないことに今更気付いた。
どこからどう手を付け、復旧させるべきか皆目分からなかったのである。

うろたえる人々を余所に、中央を始め魔科学都市部を外敵から護る結界の動力が切れた。
都市は正に丸裸の状態になってしまった。


この時を待っていた勢力があった。
辺境の民と呼ばれる人々ら、魔科学文明都市に虐げられてきた人々である。

彼らは科学こそ持たなかったが、魔術や法術をはじめとする様々な知識や力を有していた。
魔科学文明が高水準すぎただけで、決して低い文化の人々ではなかった。
また、元々は魔科学文明と種を同じくしていたが、異形の神々がもたらした技術を『人間には早すぎる』と危険視し、そこから離れていった人々を祖とする者たちも多く含まれていたという。


彼らは異形の神々ではなく、竜を奉じていた。

竜とは長命で巨大な体躯を持ち、天空を雄々しく翔ける賢者。
6柱の竜神の下、6匹の竜王に率いられた6部族が存在していた。
しかしその数は決して多くなく、大概は人里離れた場所にひっそりと暮らしていた。

6部族のうち光竜神と共にある光竜族は俗世間に関わることなく姿を全く見せず、
黒竜神が暗黒竜族は魔科学文明と組み、その恩恵に与っていた。

つまり辺境の民が奉ずる竜とは火・水・風・土の四部族の竜たちである。

竜たちは人間に戦う術を教え、自らも戦いの場に身を投じた。
辺境の人々を護り、魔科学文明の魔物やロボットたちと死闘を繰り返した。
だが竜たちの力を持ってしても、戦局を変えることは難しかった。
それほどに、魔科学文明とは強大であったのである。

そうした何度も苦渋を飲まされ続けてきた竜と辺境の民たちが、魔科学文明の衰退を見逃すはずは無かった。
最早戦う力がほとんど残っていない各都市は、瞬く間に辺境の民に制圧された。
また、魔科学文明人が自ら余興のために造りだした魔物たちが次々に侵入し、都市で殺戮を繰り返し始めた。


こうして、高度な技術を誇っていたはずの文明は竜たちの蜂起から一年を待たずあっけなく滅びた。
辺境の民では理解できぬ施設や機械―――後に遺跡やオーパーツと呼ばれる物を遺して。

余談ではあるが中央の魔力制御室が破壊された衝撃は筆舌しがたいものがった。
各都市、各辺境建造物の動力部とも繋がっているこの機械が破壊された結果、大規模な地震が発生し、大陸は六つに引き裂かれたと伝えられている。


以後、竜を奉ずる辺境の民によって世界は形作られて行く。
長き時を経て、幾度も勢力、国々の有り様を変えながら現在に至る。

現在、アシュフェイルドでは各大陸を治める六つの国が存在する。
昔は忌み嫌っていた魔科学だが、今ではその力を研究する者が増え、旧時代にはまるで及ばぬものの成果は上がってきている。

六つの王国より上位の存在として四神殿がある。
四竜族と深く関わる火、水、風、土の神殿である。
この神殿は非常に神聖なものであり、王族でもみだりに触れる事を許されない。
ここのトップである『竜の巫女』は竜神たちの貞淑なる妻であり、全てが処女である。
彼女たちは竜たちから強力な法術を授かっており、竜たちの庇護とその力を背景に人々の信仰を集めていた。

3年前まで、竜の巫女は火だけが空位であった。
だが、現在は火と土が空位である。
それはこの物語と深く関係する。

もちろん、異形の神々への信仰は消えたわけではない。
少数勢力ではあるが今でも信仰され続けている。
もっとも、彼ら自身はもはやこの世界にほとんど興味を示していない。


さて、背景を語るのはこれくらいにしよう。
ここからは物語を始めねばならない。


6000年を経て、フェンレイ=ガルフルード初期型は遺跡を盗掘に来た一人の盗賊に出会う。


黄衣の王Hasturの加護を受け、
強欲がために多くの血を流し、
その背に【黄の印】に酷似した黒き【深淵の紋章】を宿す、
奇跡とも呪いともつかぬ力『人の想いは何より強い』法則により半神と化し、
それらを無意識に封じてしまった結果、
なおも溢れ出る黒い煩悩の霧に包まれてしまった、
彼の者を人は演技者と呼ぶ。


彼に突き従うはこの物語の主人公であり、
怠惰なる賢者Tsathogguaの知識によって生み出され、
6000年の長きを存在し、
舞踊の探求と推進に力を注ぎつつ、
世界の行く末を永劫に渡り見守り続ける、
機械でありながら火竜の加護を新たに授かり、
焔の舞姫を名乗る、
この世の果つるまで存在する道化。


演技者と道化。
共に舞台に立つ者で、
互いに背中を護り合う関係でありながら、
運命がある道を示した時、
互いに殺し合う未来がやって来る、そんな二人。


彼らと、彼らを取り巻く仲間たちが織り成す一つの戦い。
過去の因縁と、今の関わりとが結びつき、一つの乱となる。



葬送の輪舞曲、ここより真の開幕―――。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Image music:Cosmic Road by FUR

良い曲です。


誤字脱字が多い  |||orz
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